ジブン大図書館

~今日の豆知識つぶやき~

【化学弱者、完全敗北】言ったもん勝ち? 酸素水、水素水、プラズマ水素水、素粒水...を買う前に一考すべきこと

エセ化学に基づく健康飲料

近年ネット上で話題になった『水素水』をご存知だろうか?
「あぁ^〜! 水素の音ォ^〜!」で有名なアレである。
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こうしてネットのおもちゃにされる水素水だが、本当に効果はあるのだろうか?

信じるものは救われる(偽薬効果)

効果が実際にあるかどうかは検証しなければわからない、と最初に言っておく。
科学は理論よりも実験を重視する学問であり、理論的にありえない事象でも実はあり得たりするからである。

...と言っておいてなんだが、効果は多分ある。近年知られるようになってきた『プラセボ(偽薬)効果』だ。
病は気からという言葉がまさしくそれで、治ると思えば実際に治るのが人体の不思議である。
実際、新薬の治験では本当は効果がないのにプラセボ効果で治ってしまうことがあるので、偽の薬と本物の薬を患者にランダムで与えているのだ。


で、科学的根拠は?

高校レベルの化学の知識があれば分かると思うが、相当めちゃくちゃな理論である。例に挙げていくと、

高濃度酸素水

販売業者の主張:化学式O4、O8といった高濃度に圧縮した酸素が溶け込んだ水で、飲むと疲労回復効果などがある。

筆者の見解:そもそもO4、O8とは通常の状態で存在することが難しい物質である。仮に作れたとして、O8に関しては『10GPa』の圧力が必要であり、しかも固体化した分子だ。こんなもので呼吸出来るわけがない。
キャップを開けた瞬間、吹き飛ぶ内容物で首が飛ぶのがオチだろう。
通常の酸素(O2)を溶かし込んだタイプもあるようだが、酸素は水に溶けづらい物質。Wikipediaさんによると溶けても10呼吸分程度らしい。人間を魚か何かだと思っているのか?(^ω^)

水素水

販売業者の主張:水素が即座に体内に浸透し、活性酸素を分解することでアンチエイジングを図る。

筆者の見解:水素が活性酸素を分解するかどうかは専門家にしか分からないものの、それ以前の問題として水素は最も小さい原子である。しかも水に溶けづらいため、外に出ようとする力が働く。そして外界と水中を隔てる壁はペットボトルのみ。お分かりいただけただろうか...? 『水素はペットボトルを透過し、数日で全部抜ける』
水素にいくら効果があろうとも、ほぼ無意味である。どうしても飲みたいなら、新鮮なうちに飲んでもらいたい。(寿司かな?)

プラズマ水素水

販売業者の主張:プラズマ化した水素(水素イオンもといH+)は水よりも素早く細胞に浸透し、細胞を潤す。

筆者の見解:新手の拷問か? 酸とアルカリについて学んだ方なら分かるだろうが、H+とは酸そのものである。それが高濃度含まれているのだから、最早硫酸ぶっかけ男並の凶行である。
仮に何の問題も発生しなかったとして、細胞内に水素イオンが入ったところでどうなるというのか。酸素がなければただの陽子である。酸素水と同時に飲めば効果があるのかもしれない(笑)

素粒水

販売業者の主張:万物の最小単位『素粒子』の振動エネルギーにより、食物の発酵促進・腐らない・環境改善・etc…の効果がある。

筆者の見解:バカ。もうほんとにバカ。素粒子を単体で取り出す技術力があるなら、今頃ノーベル賞どころではない騒ぎになっている。具体的に言えば、世界中の教科書に載る。
そもそも素粒子と言っておきながら水の力とほざいているのはちゃんちゃらおかしいし、『今の科学』では素粒子をそれぞれ切り離すことはできないとされている。(元から単体のものを除く) 未来からやってきたネコ型ロボットが開発主任なのかもしれない。


信じるか信じないかは、あなた次第です (♪都市伝説のテーマ)

...とまあ、一般常識的におかしい話ばかりなのだが、世の中高校の化学を覚えている人間は少ない。
専門用語を並べ立てられては反論できないだろうし、自分も酵素水を売れば1万人は騙せる自信がある。

とはいえ、自分も専門家ではない。嘘を嘘であると実証することは結構難しいことなので、私ごとき一般市民が100%嘘と断言するわけにはいかない。

信じるか信じないかは、あなた次第です。(胡散臭いコメント)